ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。
膝蓋骨内方脱臼パテラにより、お散歩中に歩くのを嫌がるようになってしまったトイプードルの1例(整形外科、MPL、膝、パテラ手術)
膝蓋骨脱臼は犬(特に小型犬)で最も多く見られる整形外科疾患の1つであり、その多くは1歳未満で生まれ持っての解剖学的な問題によって発症します。少数ではありますが大型犬や猫でも見られます。
症状はその子によって様々で無症状の子も多いですが、脱臼時の物理的違和感や痛みにより後ろ足を挙げてしまったり、走っている途中でスキップになってしまう子もいます。
また、今回の子のように飼主様の印象としてなんとなく歩きたがらないといったお話しもよく聞きます。
今回ご紹介する子は3㎏台のトイプードルさんです。
飼主様のお話しによると、
「お散歩中に走るとスキップになってしまうことがある」「急にキャンと鳴いて左後ろ足を挙げてしまうことがある」
といった症状があったとのことでした。
整形外科学的検査(歩様、触診)、X線検査により左後ろ足の膝蓋骨内方脱臼(パテラ)GradeⅡと診断しました。
膝蓋骨脱臼は重症度によりGradeⅠ~Ⅳの4段階に分類されており、今回の子のGradeⅡは【膝蓋骨は通常ははまっているが、生活内で脱臼と整復を繰り返している】と定義されます。
脱臼してしまうタイミングでスキップや挙上などの症状が出てしまっていたと思われます。
飼主様と慎重にご相談させて頂いた結果、外科療法を実施することとなりました。
術前の左右後肢のX線 左のみ膝蓋骨が内側に脱臼している
外科療法は大きく分けて
①滑車溝造溝 ②内側支帯(縫工筋)リリース ③外側関節包縫縮 ④脛骨粗面転移
の4種類の手技をそれぞれ実施しました。
①大腿骨滑車溝ブロック形造溝
②内側支帯(縫工筋)リリース
③外側関節包縫縮
④脛骨粗面転移
術後 / 術前 の左後肢正面像
術後 / 術前 の左後肢側面像
術後1週間で退院、2週間で抜糸を行いました。
術後1か月検診では患肢を気にする様子もなく、運動性もほぼ100%まで回復していました。
整形外科疾患はわんちゃん・ねこちゃんが快適に過ごし、ストレス無くお散歩に行ったり遊んだりするためには対処する必要がある疾患だと思います。
しかし、手術だけが選択肢ではなく、内服薬や運動制限で対応出来る場合もあります。
外科療法(手術)の内容や費用、内科療法(運動制限や投薬)の展望、外科と内科のそれぞれのメリット・デメリットをしっかりご説明した上で、最善の治療法をご提案させていただきます。
気になる症状があればお気軽にご相談していただければと思います。
文責:獣医師
多喜
本駒込動物動物病院
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