CASES 症例紹介
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。
一般外科症例

前十字靭帯損傷・断裂、膝蓋骨内方脱臼の1例(整形外科、TPLO、脛骨高平部水平化骨切術、パテラ)

あるわんちゃんが、急に右の後ろ肢を痛がり挙上してしまった(跛行)という事で来院されました。

院内では右後肢を痛がり、かばうように体重をかけないようにしている様子が見られました。 診察室内の触診検査において右膝関節の重度の腫れ、不安定性が検出されたためX線検査を行いました。
X線検査は症状のある右後肢と共に、症状が見られない左側も撮影しました。
左右の膝関節を同じ条件で撮影することにより、左右差を検出しやすくなります。

横から撮影するLateral像では、正常な左(L)膝関節(水色矢印)と比較し、跛行が見られる右(R)膝関節(赤色矢印)が白く見えます。
これは右膝関節内に関節液という液体が貯留し関節内の脂肪が圧迫されているためで、関節の強い炎症を示唆する所見です。(Fat Pad Sign)
正面から撮影したAP像では右膝のお皿の骨(膝蓋骨しつがいこつ)が本来ある場所から内側に変位(内方脱臼)しているのが分かります。
これは膝蓋骨内方脱臼といい、特に小型犬でよく見られる疾患です。

膝蓋骨内方脱臼だけではあまり症状が出ずに日常生活に支障をきたさない子も多いですが、重症化すると跛行の原因になり、
また、内方脱臼がある状態だと前十字靭帯に過剰な負荷がかかり、結果として本症例のように前十字靭帯の損傷につながることもあります。

本症例に対しては、飼主様とのご相談の上、始め1週間は鎮痛剤による内科療法で様子を見ましたが目に見える効果は得られず、
今回は前十字靭帯損傷・膝蓋骨内方脱臼に対して外科対応を行うこととなりました。
左右(LR)膝関節 AP像
今回、前十字靭帯損傷に対しては、TPLO法(Tibial Plateau Leveling Osteotomy:脛骨高平部水平化骨切術)を行いました。
それぞれ左が術後の写真になります。

この術式は脛骨(すねの骨)の近位の一部を円型に骨切りし、その骨片を回転させ金属製のプレート(インプラント)で固定する方法です。これにより脛骨の軸(水色線)に対し脛骨高平部(赤色線)(膝関節)がほぼ垂直になり、前十字靭帯が損傷している膝関節においても安定性が保たれるようになります。【下記写真①③】
また、脱臼していた膝蓋骨が整復されているのもお分かりいただけるかと思います。【下記写真②】



TPLO法は専門的な技術・知識、専用の特殊な器具を必要とする術式のため実施している病院は限られますが、
前十字靭帯損傷に対する術後の回復が一番良いと言われており、同手術を実施可能な小滝橋動物病院グループでは前十字靭帯損傷の症例に対しては第一選択でこの術式を行なっています。

手術相談などのセカンドオピニオン、他病院様からの手術依頼なども承っております。 この子は現在術後2週間が経過し、先日術部の抜糸も終わりました。 経過は良好であり、手術をした右後肢もも少しづつ使って歩くようになってきてくれています。



文責:獣医師 多喜
①左:術後  右:術前
②左:術後  右:術前
③左:術後  右:術前