CASES 症例紹介
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

コクシジウム症の猫の1例(下痢、食欲不振、子猫)

 犬猫の感染性腸炎の原因には細菌性、ウイルス性、寄生虫性のものなどがあります。さらに寄生虫の中には単細胞の原虫と呼ばれる生物がおり、コクシジウムはその一種とされています。

 犬猫を宿主とするコクシジウムにはIsospora, Toxoplasma, Cryptosporidium属といった種類が存在し、それぞれ犬猫の消化管に寄生して、その糞便からの直接感染や、中間宿主(ネズミや草食動物など)の捕食を通して感染します。感染すると、特に子犬や子猫などで軟便・下痢、血便、嘔吐、食欲不振、脱水症状などの消化器症状を伴います。少数しか寄生しなかった場合はこれらの症状を示さないこともあります。
 今回は生後三か月のマンチカンの猫ちゃんの症例です。患者さんはワクチン接種のために来院され、ついでに糞便検査を行ったところ、写真のような特徴的なコクシジウムの卵(オーシストと呼ばれています)がみられました。
 患者さんに自覚症状はありませんでしたが、同居の猫ちゃんがいること、放置した場合さらに多くのコクシジウムが感染して上記のような消化器症状を示すようになることから今回は抗コクシジウム薬を経口投与して治療しました。
 一週間後の糞便検査では写真のようなコクシジウムのオーシストは完全に消失していました。
今回は同居の猫ちゃんも糞便検査を行い、同じようにコクシジウムがみられたため、同様の治療を行いました。

コクシジウムのオーシストは環境中で1~2年生存するとされており、重度感染では消化器症状によって衰弱してしまうこともあります。そのため、感染していることがわかったら、治療に加えて生活環境の消毒(特にトイレなど)、同居動物との隔離、同居動物の検査などが必要となってきます。
また、上記のような消化器症状では本疾患以外にもさまざまな病気の可能性が考えられるため、このような症状がみられる場合にはお気軽に当院までご相談ください。
執筆担当:獣医師 田中
本駒込動物病院
東京都文京区本駒込2-27-10
TEL 03-5319-1910
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